先日舞台に出した、
バッハの録音を聴きながら、
考えること多々…。
バッハを現代の楽器で弾くことについて、
専門家が取り沙汰することは多く、
実は自分自身でも、その答えは、
行きつ戻りつして今日に至る。
ちなみに、今回弾いた楽器は、
フルコンサートグランド。
場所も、立派なコンサートホール。
率直なところ、
作品の時代背景を考えると、
このような演奏環境が、
必ずしも必要だろうか…?
という思いがあった。
…けれど、
それを敢えて最先端の環境で演奏する、
自分なりの意義のようなものが、
徐々にハッキリしてきたような、
そんな気がする。
バッハの作品には、
例えば二声の作品でありながら、
第三の声部を意識して書かれるなど、
ある種の錯覚を利用して、
曲に空間的広がりを表出する技法が、
しばしば見受けられる。
そして、これらの要素は、
強弱表現に束縛がなく、
音色も豊富な現代の楽器の方が、
格段に面白く表出でき、
その立体空間を無限に広げることが、
可能なわけだ…。
数年前から頭にあったことだけど、
ようやく完成しつつある、
インベンションとシンフォニアの、
自分のための校訂版に加えて、
新たにもう一つの楽譜を作ろう!