ここのところ続いた本番の録音から、
あらためて驚いたことがある。
それは、
楽器そのものの響きが創り出す、
音楽への影響力の大きさ。
ピアノという楽器は、
各メーカー(+サイズ)が、
独自の響きを固有するもので、
楽器を名器たらしめるのは、
其々の個性的な響きにほかならない。
実際自分もこれまで、
かなりの種類のピアノを、
保有したり、ステージで弾いたり、
試弾したり・・・etcで、
数知れないピアノの音を聴いたけど、
名器の音色の記憶は、
心に深く刻まれ、
時が経っても色褪せることがない。
今手元にある録音の中には、
同じ曲を、ほぼ同じ条件で、
楽器だけを違えて録音したものがあり、
これを並べて聴き比べると、
楽器自体の響きが、演奏を創ることに、
どれだけ大きく関与するか
あらためて白日に晒される思いがする。
演奏とは、演奏者だけによって、
生みだされるものではなく、
演奏者と、調律師と、
そして楽器の持つ響きから生まれる。
あたり前のことだけど、
あらためて、切実に…。