ドビュッシーの初期の作品、
夢、月の光、アラベスク…等々。
曲の規模が小さいことから、
小品と呼ばれるこれらの作品群には、
円熟期の「版画」以降にはない、
難しさがあります。
一言で言えば、
ピアニスティックでない!
この時期、作曲中に、
ドビュッシーの頭の中を巡っていたのは、
ピアノの音ではなく、
間違いなくオケの音。
オケスコアをピアノ譜に直したような楽譜は、
ある意味読みやすくはありますが、
逆に、「これ、どうやって弾くの?」
という記載も多いわけで、
それは、ピアノ弾きにとって、
率直に言って、
あまりありがたくない…。
とりわけ、作曲者が存命中、
名の知れた大ピアニストだったことを思えば、
「えっと、
知っててそれ書いてるわけね…?」
と、突っ込みたくなってしまうのです。
これらの作品群をオケの編曲で聴くと、
より自然な魅力を湛えた、
別の名曲のようにさえ響く理由は、
そこにあるんですよね…。
そう言う意味で、
この時代の作品は、
ベートーヴェンのピアノソナタ、
とりわけ初期の作品に、
比されるでしょうか…。
ある意味、似てるんですよね…。