16曲からなるこのワルツ集は、
家庭音楽が興隆した当時、
まず連弾曲として作曲されたました。
この愛らしい作品集の、
読譜、楽曲研究を勧めていると、
興味深い発見が尽きなくて、
どんどん愛着が深くなっていきます。
まず、調性について。
1867年に初版出版された連弾版では、
16曲中、実に13曲が、
(ハ長調・イ短調を各一曲含む)♯系。
♯系の調は、♭系に比較すると、
押しなべて、響きがとても柔らかい。
これは、ブラームスの音楽の特徴を、
如実に反映しています。
長調においては、
同じ華やかでも、決して出過ぎない。
そして、短調においては、
暗くあっても、重くなり過ぎない。
在欧中、ピアニストの友人が、
ブラームスの音楽はアガペーだよね…と、
言ってたことを思い出します。
熱い思いはあれど、
控えめで自己犠牲的、
多くを語らず、相手に望むものを与え、
どこまでも受け入れることに執心する。
なるほど…そうだよなぁ~と、
尊敬するシューマンの奥さんクララを、
プラトニックな関係で(…と言われる)、
一生をかけて支え続けた彼の人生に、
楽譜を眺めながら、
ふと思いを馳せるのです…。
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